人気の対談が2回限定で復活します。今回は組織論をテーマにチャンドラーの『組織は戦略に従う』から、『韓非子』『論語』といった中国古典までを交えて、日本企業にとって組織と戦略のどちらが重要なのかを語り合います。

ORIENT(オリエント)
原義は「ローマから東の方向」。時代によりそれはメソポタミアやエジプト、トルコなど近東、東欧、東南アジアのことをさした。転じて「方向付ける」「重視する」「新しい状況に合わせる」の意味に。

(写真=吉成 大輔)
(写真=吉成 大輔)
三谷 宏治氏 Koji Mitani
1964年、大阪府生まれ福井育ち。KIT虎ノ門大学院教授。東京大学理学部物理学科卒業後、BCG、アクセンチュアで経営コンサルタントとして活躍。92年INSEADでMBA修了。2006年から教育現場で活動。『新しい経営学』『戦略読書〔増補版〕』ほか著書多数。
(写真=吉成 大輔)
(写真=吉成 大輔)
守屋 淳氏 Atsushi Moriya
1965年、東京都生まれ。作家、中国古典研究家。早稲田大学第一文学部卒業。『孫子』『論語』『三国志』や渋沢栄一などの知恵を現代にどう活かすかをテーマとする。『最高の戦略教科書 孫子』など著書がある。今年6月、三谷氏と共に、この対談をまとめた『オリエント』を出版。

「組織が先」の日本企業

三谷(以下、三):成長にせよ世界展開にせよ、経営者は組織をどうつくり、どう統治すればいいのでしょう。これらは経営における最大のテーマです。

 この領域では『組織は戦略に従う』という古典的名著がありますが、原題は『Strategy and Structure』で、決してStructure(組織)がStrategy(戦略)に従うとは書いてありません。

 著者のアルフレッド・チャンドラーも、改訂版の端書きで「そんなことは言っていない」と言っています(笑)。「組織が戦略を変えるときもあるし、戦略が組織を変えることもある」というのが彼の主張です。

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 デュポンは第2次世界大戦後の余剰人員活用のために多角化戦略を採りました。その多角化の管理を容易にするために開発されたのが事業部制です。事業部制が完成することで多角化が容易になり、デュポンは更なる多角化に走りました。つまり組織と戦略は「余剰人員(組織)→多角化(戦略)→事業部制(組織)→更に多角化(戦略)」と互いに影響を与え合ったのです。

 チャンドラー曰く「本当は原題も『Structure and Strategy』にしたかったのに、どうしても編集者がStrategyを先にしてくれと言うから嫌々同意した」とまで書いてあります。でも、2004年発刊の日本語版は『組織は戦略に従う』という題*1になりました。

守屋(以下、守):それはびっくりの日本語訳ですね。

:いやいや、だから売れました。販売面から見れば、出版社の慧眼と言うべきでしょう。

:日本企業は組織文化が強くて、組織に引っ張られてうまく戦略が機能しないと感じるのですが、経営戦略コンサルティング部隊のトップを務めた三谷さんとしてはどうですか。

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この記事はシリーズ「オリエント 東西の叡智を未来に活かす」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。