マネジメントスキルを磨く上で、過去の決断やメディアの言説を検証し、経営判断を惑わす罠(わな)を知ることは有効な手段だ。それが、過去に遡って学ぶ「逆・タイムマシン経営論」である。今回から、罠の典型である新技術などに過剰な期待をする「飛び道具トラップ」を回避するすべを全5回で学ぶ。第1回は足元でブームになっている「サブスク」の罠だ。

※本連載は日経ビジネス電子版「オンラインゼミナール」に掲載中のシリーズを雑誌に転載したものです。オリジナル記事はオンラインゼミナールの「逆・タイムマシン経営論 第1章 飛び道具トラップ」をご覧ください。

(写真=PIXTA)
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講師プロフィル

杉浦 泰(すぎうら・ゆたか)
社史研究家兼ウェブプログラマー
(写真=的野 弘路)
(写真=的野 弘路)

1990年生まれ、神戸大学大学院経営学研究科を修了後、みさき投資を経て、現在は社史研究家兼ウェブプログラマー。2018年1月にウェブサイト「決断社史」を立ち上げ、現在は「The社史」を運営する。

楠木 建(くすのき・けん)
一橋ビジネススクール教授
(写真=的野 弘路)
(写真=的野 弘路)

1992年、一橋大学大学院商学研究科博士課程修了、一橋大学商学部専任講師、同助教授、同大学イノベーション研究センター助教授、同大学大学院国際企業戦略研究科准教授を経て、2010年から現職。

 逆・タイムマシン経営論は「同時代性の罠(わな)」に注目しています。いつの時代もその時点で目にするニュースや言説には「同時代のノイズ」がたっぷりと含まれています。それに触発された思考や判断にも同時代のバイアス(偏見)がかかりやすいものです。これがしばしばビジネスの意思決定を狂わせる方向に作用します。これが「同時代性の罠」です。

 だとしたら、どうすれば同時代性の罠から抜けられるのか。タイムマシンに乗って過去に遡るにしくはなし、というのが我々の見解です。「歴史的視座」と言えばそれまでですが、何も明治や江戸に立ち返れという話ではありません。高度成長期くらいから10年ほど前までの“近過去”に戻って、当時の言説と人々の反応を知る。未来予測と違って、それは既に確定した過去のことです。現時点で振り返れば、同時代のノイズがさっぱりと洗い流されて、経営にとって本質的な論理が姿を現します。これが格好の知的トレーニングの素材となるのです。

続きを読む 2/6 過去の記事で思考トレーニング

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