シリーズ
不屈の路程

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キングジム宮本社長 ヒット飛ばす“10打数1安打”の社風
商品開発型企業をうたうキングジム。そのルーツは“偉大なる発明家”だった創業者の気質にあった。「10回に1回当たれば十分」という打率1割の考え方が、失敗を恐れず挑戦する社員を生む秘訣という。その考えが信念となったのは、いつ…
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キングジム宮本社長 人情派がリストラでかぶった非情の仮面
安価な中国製商品の台頭に押され、コスト削減や生産効率化のために国内拠点の閉鎖を断行。数多くの日系メーカーがたどった道だが、非情に徹しきれない宮本社長にとって苦い記憶となった。今日、苦境にあえぐ海外工場の存続に全力を注ぐの…
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キングジム・宮本彰社長 「テプラ」成功の慢心が招いた地獄
創業家に生まれ、「会社を継ぐ」との自覚から、常に1番を目指して人一倍の努力を重ねてきた。紙需要の先行きに危機感を抱き、電子文具へ参入。ラベルライター「テプラ」を大ヒットに導く。この成功で「テプラ社長」と名を上げたものの、…
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ニチガス和田会長 社内外の境目が溶ける未来に備える
「事業で業績を上げた人だけが社長になる時代は終わる」と常々、考えてきた。現業の執行力だけでなく、数字を読み解き、定量的に分析する力が経営のカギになるという。将来は会社と社会との境目が融解することすらあり得る。人材が集散し…
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ニチガス和田会長 米大手銀との提携で経営“開眼”
2011年秋、米大手銀行系ファンドと提携し、経営を一新した。現金は低収益資産、利益を生む資産に変える財務戦略を学んだ。自由化の中での戦いは10年代、経営の質を上げる新たな段階に入った。
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ニチガス和田会長 「獅子身中の虫」と呼ばれた営業攻勢
1997年のLPガス自由化で、料金引き下げなど徹底した営業攻勢に出た。業界の猛反発を受け、激痩せも経験したが、一歩も引かずに戦った。原点には、迷走した青春時代と営業員時代からの一途な努力があった。
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ニチガス和田眞治会長 非効率に憤り、奮い立った営業時代
入社以来、営業一筋。典型的な営業員だが、デジタル化に早くから取り組んだ。業務の効率化がコスト競争力を生み、市場が自由化された際には最大の強みになった。情報システムを業界のプラットフォームにする事業にまで乗り出している。
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カンデオホテルズ穂積氏 「稼げる社会貢献」で、弱き人の盾となる
高い顧客満足度が大手企業の目に留まり、各地で次々と開業要請を呼び込んで急成長を果たした。6000室体制までのめどは立ったものの、需要を見極め、「規模拡大は1万室まで」とゴールを決める。学生時代のボランティア経験から、本業…
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カンデオホテルズ穂積氏 負った借金35億円、覚悟支えた稲盛哲学
リーマン・ショックで親会社が経営破綻して別企業の傘下に。しかし、企業文化の違いに苦しんだ。自由闊達な社風を守るためMBOを選択。独立の条件として35億円もの債務を個人で保証した。社員を守るその動機、「善なりや」。尊敬する…
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カンデオホテルズ穂積氏 ホテル事業の萌芽を襲ったリーマン危機
不動産ビジネスのイロハを習得した後に、資金調達を学ぶべく、不動産ファンド「クリード」に転職した。土地・建物の付加価値を高める新規ビジネスとしてホテル事業を提案。運営会社の社長に就任した。立ち上げに奔走し、2年で1000室…
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カンデオホテルズ穂積会長兼社長 月6億円の赤字、それでも守った雇用
5つ星でも3つ星でもない「宿泊特化型なのにラグジュアリー」な4つ星ホテルを全国に展開する。新型コロナウイルス禍で苦境に陥り、盤石と信じていた財務体制は歴史的厄災の前に瓦解した。「社員を守り抜く決意」で試練を克服。その信念…
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高木酒造・高木社長 「辰五郎」の襲名、その日に向けて
高級な料亭や航空機のファーストクラスなどで世界のVIPに人気を博すようになった日本酒「十四代」。高木酒造には十四代の他にも、カジュアルに飲める銘柄もある。ただ、当初は流通に四苦八苦した。日本酒を世界に雄飛させる。いつか継…
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高木酒造・高木社長 父子で挑んだ、未来をつくる酒米開発
最高の日本酒造りを追い求めるなら、幅広い味わいが実現できる最良の「酒米」が欠かせない。高木顕統社長は父と二人三脚で、1990年代から3種類の新たな酒米を開発しようと奮闘。曽祖父の時代から4代で追い続けた悲願を達成すべく、…
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高木酒造・高木社長 壊れかけた心臓、痛感した絆の力
日本酒「十四代」をブランド銘柄に育てた高木社長だが、長年の負荷が体に蓄積し、ついに卒倒した。10年前の真夏の夜に心臓が異常に鼓動、妻の懸命な救助と病院での緊急治療で一命を取り留めた。家族の献身、蔵人たちの支え。命の危機を…
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高木酒造・高木顕統社長 ブームに踊らず「芳醇旨口」の時代開拓
国内外で至高の日本酒ブランドとして知られる「十四代」。400年超の歴史を持つ高木酒造の逸品だ。平成初期に存続の危機を乗り越えた高木顕統(あきつな)社長は、「芳醇(ほうじゅん)旨口」の時代を切り開いた。当時ブームだった「淡…
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モンベル・辰野会長 「馬なり 道なり」で柔軟に進もう
創業3年目でドイツに製品の輸出を始めて以来、地道に海外事業の展開を進めた。米国では、パートナー探しや特許裁判を経て、自力で粛々と事業を続ける道を選んだ。壁に当たっても、まず受け入れる。「馬なり 道なり」を信条に自然体で道…
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モンベル・辰野会長 「困難の選択」こそリスク回避の極意
取引先の判断に左右されない商売の確立を目指し、「下請けからの脱却」と「直営店の出店」を決めた。小売店との価格競争を回避するため、卸価格を据え置き、上代を引き下げる「価格リストラ」を断行。「怖がり」な山男の性分で、将来の不…
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モンベル・辰野会長 流転の28歳、たった1人の挑戦
ひ弱だった少年は、海外の有名登山家が著した本と出合い、山に関わる仕事で生きる覚悟を決める。会社を転々としながらも登山家として成長するうち、「自分でものづくりがしたい」という志が芽生えた。7坪の雑居ビルから始まったモンベル…
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モンベル・辰野勇会長 怖がりな山男が歩んだ幸福に至る山路
少年時代から山に焦がれた生粋の山男は、やがて日本を代表する登山用具メーカーをつくり上げた。過酷な環境を生き抜く登山家の経験から覚えたのは「命より大事なものはない」という経営観だった。「自らの幸せが一番」と語り突き進む風変…
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スクエニHD・福嶋名誉会長 到達した「試行錯誤こそ経営」の境地
ドラゴンクエストの大ヒットを経ても拭えなかった不安。結局、「日本一」になった実感は得られなかった。苦しみはなくせない。経営者として到達したのは「試行錯誤こそ経営の神髄」という達観の境地だった。だが、「後悔はない」と言う。…