2011年秋、米大手銀行系ファンドと提携し、経営を一新した。現金は低収益資産、利益を生む資産に変える財務戦略を学んだ。自由化の中での戦いは10年代、経営の質を上げる新たな段階に入った。

和田眞治[わだ・しんじ]氏
和田眞治[わだ・しんじ]氏
1952年島根県生まれ。成城大学経済学部卒業。77年日本瓦斯入社。入社5年目に北関東支店の課長に。当時、最も早い昇進だった。92年本社営業本部地区開発課長、96年西関東支店長。97年取締役に就任し、2000年常務、04年専務を経て05年に社長就任。22年5月、会長就任。(写真=大下 美紀)

 2010年末のことでした。米国の大手銀行、JPモルガン・チェースの投資部門から突然、当社に連絡が来ました。「(国内のガス市場は成長分野ではないのに)日本瓦斯は顧客数を伸ばし続けている。ROE(自己資本利益率)も業界で抜きんでて高い。事業の構造について聞かせてほしい」と言うのです。

日本瓦斯は、DXで効率配送の仕組みも作った
日本瓦斯は、DXで効率配送の仕組みも作った

 驚きました。関東のLP(液化石油)ガス会社に世界の大手銀行が関心を持ってきたのですから。前回まででお話ししたように、1997年に始まったLPガスの自由化の中で、私は他社顧客を奪わないという、それまでの業界の暗黙の慣行を打ち破り、顧客獲得で自由な競争を始めました。業務の効率化を進めてコストを下げ、それを基にガス料金を引き下げて顧客を拡大してきたのです。市場全体の伸びは停滞していましたが、その中で当社は成長していました。そこに目を付けたようでした。

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