「メガネ一式5000円」と掲げて2001年に福岡市に1号店を開いた「JINS」。国内の眼鏡市場の価格破壊をけん引し、ジンズHDは売上高600億円超まで成長した。「いつか起業したい」という漠然とした夢から始まった経営者人生は逆境の連続だった。

(写真=竹井 俊晴)

 新型コロナウイルスが我々に与えた影響はすさまじいものでした。それまでは国内店舗の売り上げがずっと良かったんです。2020年の1、2月は好調で、前年同月を15%強上回る水準で推移していました。

 それがコロナで一変しました。緊急事態宣言が発令される中、一時は国内約400店舗の9割を休業せざるを得ませんでした。その結果、4月の国内店舗の売上高は前年同月比で約7割減。「このまま会社がつぶれるかもしれない」と思うほど厳しい状況でした。

右肩上がりで成長してきた
●ジンズホールディングスの業績推移

 厳しいときだからこそ、ここ数年の経営上の懸案について思い切った決断ができました。4月末、祖業である雑貨事業からの撤退を決めたのです。コスト削減や不採算店舗の閉店などを進めてきましたが、コロナの影響もあり、我々の下では今後の損益改善は難しいと判断しました。もちろん、無念さがないかと言ったらウソになります。

 でも、経営資源を眼鏡事業に集中すべきだという判断は間違っていないと信じています。むしろ、今は眼鏡事業を改革する好機なんです。6月以降は売上高が前年を上回るようになって一息つきましたが、今回の危機を経験した社員が「このままではいけない」と感じてくれています。人や組織は窮地に陥ったときこそ本気を出すものです。逆境を、自分たちが成長する糧に変えなければいけません。

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