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急成長したLINEへの批判。対応の中で日本の課題に気づく。起業後もコンテンツにこだわり続け、国内外で新サービスを展開。その根底には、少年時代の原体験があった。

森川 亮[もりかわ・あきら]
1967年神奈川県生まれ。89年に筑波大学卒業後、日本テレビ放送網入社。ソニーを経て、2003年にハンゲームジャパン(後のNHN Japan、現LINE)に入社。07年、NHN Japan社長に就任。15年にLINE社長を退任、C Channelを創業し社長に就任。20年5月、C Channelを東京証券取引所TOKYO PRO Marketに上場させる。(写真=的野 弘路)

 2011年にサービスを開始したコミュニケーションアプリの「LINE」は、2年後に世界で3億人のユーザーを獲得するほどの急成長を遂げました。しかし、喜んでばかりもいられません。ユーザー数の桁が「億」に変わったことで、それまで私が手掛けてきたサービスとは異なる課題も出てきました。その1つが、LINEに対する世間からの批判への対応です。

 「出会い系として使われる」「いじめの温床になる」。ネットを中心に、LINEの弊害を懸念する声が一気に出てきました。ネットでの批判は消費者向けのサービスにはつきものですが、ユーザー数が多い分、批判の数も桁違いでした。中には「LINEはよく分からないがとにかく危険だ」といった根拠のない声もありました。私自身も多くの批判を受けたのを覚えています。

「インフラ」の役割を担う

 LINEはあっという間に、コミュニケーションの「インフラ」としての役割を求められるようになったのです。サービスの使いやすさや楽しさを実現するだけでなく、社会に対する責任も果たさなければならない立場です。耳を傾けるべき批判はきっちり受け止めて、ひたすらサービス改善に努めました。

 いじめの問題には本当に胸が痛みました。学校からは数多くの問い合わせがありましたし、悩んでいる親御さんから手紙が寄せられることもありました。社長として「これだけはなんとかしなければ」という思いが強かった。専門部署を立ち上げて、学校でのネットリテラシー教育に力を入れました。