ローカル鉄道「京都丹後鉄道」の運営で、マイカーの利便性に太刀打ちできないと痛感した。新型コロナウイルス禍で長距離移動が減る一方、自宅周辺の移動が増えていることに注目。スマートフォンで乗り合いタクシーを呼び出すオンデマンド交通で新たな公共交通の創造に挑む。

村瀨茂高(むらせ・しげたか)氏
村瀨茂高(むらせ・しげたか)氏
1963年愛知県生まれ。大学時代からツアーを企画し、仲間と旅行会社に入社。94年に退社して大阪に西日本ツアーズ(現在のWILLER)を設立。2006年に高速バスのWILLER EXPRESS、15年に京都丹後鉄道、21年にスマホで配車する乗り合い型オンデマンド交通「mobi」を開始するなど業容を拡大。(写真=的野 弘路)

 2015年4月に京都府・兵庫県のローカル鉄道「京都丹後鉄道(丹鉄)」の運営を引き継ぎましたが、売り上げは伸び悩んだ。沿線に住んで改めて、地方は自動車社会であると気づかされました。一家に複数台のクルマがあるため、利便性でマイカーに太刀打ちできず、鉄道の利用客を増やすのが難しかったのです。

 打開策を模索しているとき、海外に「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」という概念があると知りました。複数の公共交通手段を最適に組み合わせてワンパッケージで提供する。「ローカル線を救う技術になるかもしれない」と思い、18年9月に北海道のJR釧網本線沿線で観光客向けMaaSを始めました。

 丹鉄沿線ではなく、遠く離れた北海道を選んだのは、JR北海道の経営危機で廃線が取り沙汰されていたから。加えて、私が最初に就職した旅行会社「ラッツインターナショナル」時代にツアーをよく企画していて土地勘があったからです。

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