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変化が激しいアパレルの世界で高い成長を誇るファーストリテイリング傘下のジーユー。設立当初は赤字が続いた同社だが、今や「ユニクロ」をしのぐ伸びを実現するまでになった。新型コロナの逆風に立ち向かうのは、二度と経営者にはならないと自ら誓った男だ。

(写真=的野 弘路)

 新型コロナウイルスが企業経営にとって大きな脅威となっています。店舗の営業自粛に加え、全国で緊急事態宣言が発令されたことで、アパレル業界はとりわけ大きな影響を受けています。

 ジーユーも東京・銀座の旗艦店を含め、多くの店で営業を自粛したり、営業時間を短縮したりするなどの対応に迫られています。以前から力を入れてきたEC(電子商取引)での販売は堅調ですが、やはり新型コロナの影響は少なくありません。

 「ユニクロ」と比較すると規模は劣りますが、ジーユーはファーストリテイリング(FR)の中でも、売り上げや利益の伸び率が一番高い事業になりました。新型コロナの影響が出る直前の決算(2019年9月~20年2月期)では、売上高が前年同期比13%増の1322億円、事業の営業利益は同12%増の158億円でした。

 ジーユーはお客様が驚くような低価格で商品を提供しつつ、ベーシックが主体のユニクロと異なりトレンドファッションを取り入れることで業績を伸ばしてきました。アパレル業界全体に強烈な逆風が吹きつける厳しい時代ではありますが、乗り越えられると信じています。

 08年に現在ジーユーとなっているGOVリテイリングの副社長につき、10年から社長を務めています。ただ、当初から調子が良かったわけではありません。06年のブランド立ち上げ時は「ユニクロの廉価版」というイメージもあって伸び悩み、黒字化まで3年の歳月を必要としました。

 原因はジーユーのポジショニングがきちんと定まっていなかったこと。その後、いくつもの試行錯誤を経て今に至りますが、ジーユーの成長の道のりは、私が経営者としての自信を取り戻す過程でもありました。手痛い失敗でどん底に落ち、そこからはい上がったからこそ、現在の逆風にも立ち向かっていけるとの自負があります。

 04年3月22日のことです。私は日本橋兜町の東京証券取引所で、柳井(正)さんと並んで会見を開きました。FRが02年に新規事業として始めた野菜の販売事業からの撤退と、その事業を手掛ける子会社エフアール・フーズの解散を発表したのです。

日経ビジネス2020年6月1日号 48~51ページより目次