日本の小売業に多大な影響を与えたダイエーに35年勤めた後、食品スーパーのトップに。創業者の中内㓛氏としばしば対立しながら、「スーパーは地域密着」の信念を強固なものにした。ダイエーを「追い出された」小濵裕正氏は、危機の淵にあったカスミを立て直した。

新型コロナウイルスの脅威が世界を覆っています。多くの地域で外出自粛の要請が出ている中、スーパーマーケットは社会のインフラ、ライフラインとして営業を続ける責務を負っています。どれだけ消費者の皆さんにご満足いただけるか。きちんと必要なものが手に入り、安全、安心な生活を守れると思っていただけるか。今その役割を果たさなかったら、スーパーの存在価値はないと思います。
ウイルスのどさくさに紛れてもうけようとかいうのは言語道断。そういうことをしたらしっぺ返しが来るのは間違いありません。業界団体の会長としても、そういう良からぬことだけは絶対に避けたいとお願いしています。
私たち、カスミの店舗は、緊急事態宣言が出た地域では営業時間を短縮しています。宣言が発令されるまでは、ほぼすべての店で従来通り営業していました。夜まで働き、遅い時間にしか買い物に来られない人がいるからです。その人たちの生活のためにも、営業時間を短縮することはできる限り避けたかった。
正直な話、効率は良くありません。以前に比べたら、夜間に出歩く人は少ないですからね。でも、社会的なインフラとして、そういうお客様も背負っていますから、簡単に「夜は閉めます」という決断はできません。
カスミは、茨城県で3割という高いシェアを持つ食品スーパーです。つくばエクスプレスの開通も手伝い、2001年2月に105だった店舗数は現在189になりました。総菜や地元の野菜などの食品を強化し、各店で地域のお客様の声を大事にした品ぞろえをしているのが特徴です。

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