東京五輪で選手村に寝具を供給する準備を進める中、新型コロナウイルス禍で大会が延期となった。出店先の百貨店などが休業して売り上げが落ち込んだが、皆で知恵を出し合って苦境を乗り越えた。かつて失敗に終わった米国進出。同じ轍(てつ)は踏まない。再挑戦すべく、着々と地力を養っている。

高岡本州 [たかおか・もとくに]
高岡本州 [たかおか・もとくに]
1960年名古屋市生まれ。名古屋大学工学部応用物理学科卒、慶応義塾大学大学院経営管理研究科修士課程(MBA)修了後、父が経営する日本高圧電気に入社。87年米スタンフォード大学大学院修士課程修了。98年日本高圧電気社長(現在は取締役)に就任。2004年に伯父から中部化学機械製作所(現エアウィーヴ)の経営を引き継ぐ。(写真=栗原 克己)

 エアウィーヴは東京五輪で選手村に寝具の供給が決まっていました。大会に間に合うように3分割マットレスの生産能力を高め、選手の体形に合う硬さのマットレスを提案する「マットレス・フィット」という体形の測定システムも準備していました。しかし、新型コロナウイルス禍は2020年2月ごろから深刻な状況となり、3月上旬には五輪開催の是非を問う議論が出てきました。

 不安はありましたが、私は意外なほど冷静でした。コロナ禍はコントロールできません。ならば、その結果を受け入れるしかない。同年3月末に延期が決定すると、私は社員に対して「しっかりした準備をするための時間ができた」と話しました。

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