パソコンやスマートフォンなどのアクセサリーや周辺機器を扱うエレコムの創業者、葉田順治氏。30年以上続けてきた売り方を昨年12月、直感を信じて変更。朝令暮改をためらわず実行する。世界的な経営書を読みあさり、著名経営者の講演を片っ端から聴くことで、ヒントにしてきた。

葉田 順治 [はだ・じゅんじ]
1953年、三重県熊野市生まれ。小学5年生の時に兵庫県芦屋市に転居。76年甲南大学経営学部を卒業し材木問屋に就職。77年実家の製材工場再建のために熊野市に戻る。86年エレコムを創業。96年3月期に赤字転落。2006年ジャスダック、13年東証1部上場。パソコンやスマートフォンのアクセサリーや周辺機器などを手掛ける。
(写真=的野 弘路)

 人間には、直感で物事を判断する右脳タイプと論理的な左脳タイプがあるといわれます。気になって脳の専門医の加藤俊徳先生に磁気共鳴画像装置(MRI)で診てもらいました。診断結果は、「左脳よりも明らかに右脳が発達している」というもの。昔から何かひらめくと即座に行動してきましたが、医学的に証明されたことで、この経営スタイルを続けようと思いました。

 2019年12月1日、突然ひらめいて、創業期から30年来続けてきた営業のやり方を全部変えました。エレコムの強みはサプライチェーンにあるとお話ししました。その肝が、お客様自身に棚から商品を選んでいただく売り場づくりです。ところが最近、その売り方が通用しないのではと思い始めていました。無線LANルーターといった周辺機器では、競合他社と比べて売れ行きがいまひとつ悪かった。機能も価格もサポートも自信があるのに。

 全国を見渡したら、例外的にエレコムのルーターがよく売れている地域がありました。九州です。営業担当者がお店の方に製品の良さをしっかりと説明していました。「これだ!」と思い、そのやり方を即座に全国に広げることを決めました。スマートフォンのケースやパソコンのマウス、ケーブル類など以前から扱ってきた製品を売るには、棚に並べておけばよかった。ところが、ルーターのような周辺機器はそれでは不十分だったのです。

 お店の方が困っていたのは周辺機器の最新情報がないことでした。だから、これからエレコムの営業は猛勉強して、お店のために勉強会を開く。そうすれば詳しくなった製品をお客様に薦めてくれますよね。

 これまで営業担当者は、ガチンコでライバルと棚を取り合って広い売り場を確保すると「勝った勝った」と喜び、社内でも評価されていました。その人事評価の仕組みも変えます。朝令暮改で、ほめられていた社員が急にかつてほど評価されなくなるかもしれない。でも、必死に考えれば突破口は開けるものです(笑)。

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