パソコンのマウスやスマートフォンのケースなど、周辺機器やアクセサリーを手掛けるエレコム。かつてパソコン業界で「ひも屋」と軽視された創業者の葉田順治氏は、高収益企業を築いた。誰もやりたがらない「面倒くさい」サプライチェーンは、どのように生まれたのか。

 30年ほど前、日本興業銀行(当時)の調査部の方がいらして、「こんなビジネスモデルを続けていたら中国企業が出てきて潰されますよ」とばかにされたことがありました。僕は、そんなビジネスを1986年の創業以来続けています。

 僕が立ち上げたエレコムは、マウスなどのパソコン用入力・出力装置やスマートフォンのケースといったアクセサリーなどを手掛けています。せいぜい数千円の製品が中心で、単価の安いものばかり。世の中の通販サイトには似たような製品がゴロゴロあります。

 そんな製品ばかり扱っていてもうかるのかと思われるかもしれませんが、2020年3月期には売上高が1030億円、営業利益は134億円の計画で、19年3月期のROE(自己資本利益率)は東証1部上場平均の約10%を上回る18.6%でした。

 今期計画を達成すると7期連続の増収増益になると期待されたり、19年12月に米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授にちなんだ「ポーター賞」をいただいたりしましたが、成功しているとか戦略が優れているとか言われても実感がありません。一橋ビジネススクールの楠木建教授に「もうかっていますね」と言われたとき、「僕を守銭奴みたいに言わないでください」と答えてしまったほどです(笑)。数字はこれまでがむしゃらにやってきた結果として出ているものであって、経営は大きな流れの中にあるものですから。

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