波瀾万丈の経営者列伝「不屈の路程」。シリーズ2はトリドールホールディングスの粟田貴也氏。国内うどんチェーントップの「丸亀製麺」を立ち上げ、急成長を遂げた。若い頃から成功を夢見た粟田氏は、思いもしなかったうどんで未来を切り開いた。

(写真=陶山 勉)
(写真=陶山 勉)

 「香川の会社でもあらへんのに丸亀名乗って」

 昨年、ネット上で僕らが手掛けるうどんチェーン「丸亀製麺」の名称に関する論争がまた起きてしまいました。時折こんなふうに批判が出てくるんですよね。私自身に直接批判が来ることはありませんが、たまに人から「また言われとるよ」と聞かされます。やはり、うどんは香川県民にとっての宝ですからね。それをよそ者が商売に使ってるという見方をされてるのかな。

 でも批判されるのも仕方ないなって思いますわ。だって、丸亀がスタートでないのは真実やもん。

 うどんの店を出す時に「丸亀製麺」という名前にしたのは、僕が中学生の時に死んだ親父が旧制の丸亀中学出身だったからという単純な理由です。それに丸亀という地名は、鶴亀の「亀」に「丸」で、「ほんま縁起のええ名前や」と思って頂戴したんですよ。店舗数が数軒くらいの時は何も言われんかった。だから、今みたいに大きな話題になるなんて思ってもみなかったんです。

 でも、まあ実際、(兵庫県の)加古川で創業した会社なのは真実ですから返す言葉ないですわね。それは変えようのない事実なんで。この件についてはもう言い訳もなんもしないことに決めてるんです。

「丸亀」の名に批判 事実なので仕方ない
<span class="fontSizeL">「丸亀」の名に批判 事実なので仕方ない</span>
JR加古川駅から1kmほどのロードサイドに今も残る丸亀製麺1号店

 でもね、こう言うとまたよろしくないかもしれませんが、丸亀という地名を全国区にできて、死んだ親父に対しても親孝行できたんやないかと思います。ネット上の批判による店の売り上げへの影響はありません。

常識に反する店内製麺

 丸亀製麺は約20年ほど前に香川で製麺所を見て、「これ再現したら成功するんちゃうか」と思って、2000年11月に始めたんです。正味な話、当初はここまで大きくなると思って始めたわけやないんです。

 丸亀製麺の売りである「店内製麺」も、みんなに「無理無理」って言われましたから。「ある程度したらシステム化しないと無理ですよ」「チェーン店とはそういうものではない」と反対されました。なので、外食業界の常識には反していたと思います。

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