〈新時代の合併号の直前にオンラインで盛大に先行記事を掲載しよう〉

 堀田が加わったとき、新時代編集長の高津が提案した。オンラインとは、言論構想社の主要媒体記事の一部を閲覧できるインターネットメディアだ。

 主だった雑誌の目玉記事を発売日前に告知するほか、読者からのタレコミを誘導する〈リークボックス〉もある。記者たちがスキャンダルの渦中にある著名人に直当たりした際に撮った動画も視聴可能だ。

 出版不況が深刻化する中、会社は5年ほど前からシステム運用を強化した。外部からウェブ編集に強いライター陣を集め、数人のデータサイエンティストの協力も仰ぎ、ネット民との相性の良い見出しを付け、広大なサイバー空間から読者を惹きつける仕組みを作ってきた。ここ1、2年では〈言論構想オンライン〉の効果で雑誌の売り上げ減に歯止めがかかり、雑誌や書籍の電子版の販売も伸び始めた。高津の提案に異論は出なかった。

 〈新時代で関係者のインタビューや反響を掲載し、言論構想本誌ではロングインタビュー、提言の全文掲載をやりましょう〉

 小松も積極的に意見を出し、高津と2大媒体の棲み分けを話し合った。

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