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「もしや、この人物が暗躍したのですか?」

 自らの手の中には、目付きの鋭い背広姿の男の写真がある。画面を向けると、南雲が目を剥いた。

「古賀さん……池内さんもお知り合いですか?」

 予想通りだった。スマホを手元に引き寄せ、さらにページをめくる。今度は松濤・磯田邸を望遠レンズでとらえた1枚だ。

「古賀氏は磯田大臣の私邸まで入っていける人物です。正体をご存知ですか?」

「いただいた名刺には、金融コンサルタントと肩書きがありました。外資系証券会社のスタッフに紹介されたときは、金融だけでなく、政界にも顔が利く人物だとも」

「今回のクーデターのために、政治家に近い古賀氏と接近したわけですね?」

「はい。様々なルートから永田町、霞が関の裏側に接触を試みましたが、機密性の高さ、一般に存在を知られていない等々を勘案して、古賀さんを秘密の代理人に決めたのです」

 南雲の言葉をメモにしてスマホに打ち込む。古賀という名前が出るたび、指先に力が籠もっていく。