米国ではアジア系移民が社会的に成功を収めているが、リーダーとして注目される機会は少ない。ジャクソン・ルー米マサチューセッツ工科大学(MIT)助教授が、要因を統計的に分析した。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院助教授

米国ではアジア系移民が大勢、社会的に成功を収めている。統計的にも、アジア系移民は他の人種グループより高い教育を受け、より豊かになれる傾向があるとされてきた。それにもかかわらず、東アジア系が米国の組織のリーダーとして注目される機会は少ない。
米国社会には「バンブー・シーリング(竹の天井)」がある。アジア系が昇進しづらい状況について、女性が昇進できない見えない壁を指す「ガラスの天井」をもじってできた言葉だ。実力のあるアジア系が組織でなかなか昇進できない現象が長年、指摘されてきた。中国出身の気鋭の経営学者、米マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院のジャクソン・ルー助教授が詳細に分析したところ、いわゆる「差別」や「格差」とは違ったところに、大きな要因があった。ルー助教授の解説を聞こう。
「私は学生時代に日本語を専攻し、早稲田大学に留学した。英国にも住んだ。東アジア系は儒教文化の影響が色濃いため、謙虚にふるまうことや調和、安定を好み、自分の意見を言うことを好まない。インドやパキスタンといった南アジア系は、何百年の長い歴史の中で、そもそも自己主張が強く、さらに議論を好む文化だと思う」
例えばインド人は、米アルファベットおよび米グーグルのサンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)、米ハーバード経営大学院のニティン・ノーリア学長といった著名な出世組がいる。だが日本人や中国人では、そうした活躍はあまり見当たらない。
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