価格戦略が利益を決める、というサイモン氏。シェア争いや販売量の増加を目指すだけでは「適正な利益」は確保できないと説く。

ハーマン・サイモン[Hermann Simon]
経営学者、サイモン・クチャー&パートナーズ名誉会長
経済学と経営学を学び、独ボン大学で博士号を取得。独マインツ大学とビーレフェルト大学などで教授を務めた。1985年、独コンサルティング会社サイモン・クチャー&パートナーズを共同創業。ドイツ語圏ではピーター・ドラッカーに次いで最も影響力のある経営思想家とされる。著書に『グローバルビジネスの隠れたチャンピオン企業』、『価格の掟』(いずれも中央経済社)など。

 ドイツの経営思想家ハーマン・サイモン氏は、企業経営ではシェア拡大より価格戦略が重要だと説く。そして著書や講演などでしばしば、スウェーデンの家具製造小売り、イケアを好例として挙げる。読者もご存じの通り、イケアは高価格を戦略とする企業ではなく、むしろ値頃感でブランディングしてきた企業だ。

 つまり、サイモン氏が言う価格戦略とは、高価格設定を心掛けよという教えではない。低い価格でも、必要十分な利益を確保できればそれでも全く構わないのだ。

 「イケアは家具の小売業者として同業者より低価格を掲げながら、大きな利益を生んでいる。それを可能にしているのは独自のビジネスモデルだ。通常の家具業者はコストをかけて商品を工場で組み立ててから出荷する。それに対して、イケアは消費者に家具を組み立てさせることによって、低価格でも利益を確保する。

<span class="fontBold">イケアは昨年、70年発行してきたカタログを廃刊</span>(写真=ロイター/アフロ)
イケアは昨年、70年発行してきたカタログを廃刊(写真=ロイター/アフロ)

 物流面でも、戸棚などを組み立てた状態で販売する会社は輸送コストが非常に高くなる。イケアは組み立て前で、より小さなものを運ぶことになるので、この点でも有利だ」

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