『隠れたチャンピオン企業』などで知られるドイツの経営学者、ハーマン・サイモン氏。企業の「利益」について、言いたいことがあるという。

ハーマン・サイモン[Hermann Simon]
経営学者、サイモン・クチャー&パートナーズ名誉会長
経済学と経営学を学び、独ボン大学で博士号取得。独マインツ大学とビーレフェルト大学などで教授を務めた。1985年、独コンサルティング会社サイモン・クチャー&パートナーズを共同創業。ドイツ語圏ではピーター・ドラッカーに次いで最も影響力のある経営思想家とされる。著書に『グローバルビジネスの隠れたチャンピオン企業』(中央経済社)、『価格の掟』(中央経済社)など。

 ハーマン・サイモン氏は、ドイツにおいて、「ピーター・ドラッカーに次いで影響力のある経営思想家」として知られる。マーケティングのコンサルティング会社、独サイモン・クチャー&パートナーズを大学の教え子と設立。当初は学者と二足のわらじだったが、途中からCEO(最高経営責任者)を務め、現在は名誉会長を務めている。

 今でこそ経営学者が起業することは珍しくないことであるが、サイモン氏はその先駆者の一人。グローバルニッチトップがたくさん活躍するドイツ流の中小企業に着目した著書『グローバルビジネスの隠れたチャンピオン企業』は日本でも知られた名著で、経済産業省はこの本にちなんで、地方の中小企業を対象にした賞を設立した。

 そんなサイモン氏はこのほどドイツ語で自伝を発刊。夏ごろに英語版が出版されるその著書の中で最も力を入れたのが、「利益」についての考察だった。

 「私は16年にわたり大学で経営学者だったが、主な研究分野は価格戦略だった。その後、コンサルティング会社のサイモン・クチャー&パートナーズを仲間と創業し、2000年には東京支社をオープンして活動してきた。そこで私は企業における、利益をめぐる現実を深く知ることになった。つまり世間では、収益性が高くない企業が想像以上に多いことを知ったのである」

 下の表で紹介したのは、サイモン氏が示した経済協力開発機構(OECD)諸国の8年間における、利益の理想と現実に関する興味深い調査の結果である。

国民の期待を裏切る企業

 サイモン氏はドイツで、「ある企業が100ユーロの収入を得たら、経費や税金を差し引いた後の利益率はどの程度か?」と聞いた。回答者の平均は22.8%だった。だが、現実は全く違った。例えば過去14年間のドイツ企業の実際の利益率は3.4%である。

企業の多くは、利益率が2桁に届かず
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注:利益を売上高で除したもの 出所:サイモン・クチャー&パートナーズ
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