野中郁次郎一橋大学名誉教授の「知識創造」に世界中の注目が集まっている。この「人間中心の経営理論」を国の経済成長に結びつけようと、最も積極的なのが中国だ。

野中郁次郎[Ikujiro Nonaka]
一橋大学名誉教授
1935年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業。富士電機製造(現富士電機)を経て、67年に米カリフォルニア大学バークレー校経営大学院に進学、72年博士課程修了。82年に一橋大学産業経営研究施設教授。「ナレッジマネジメント」「SECIモデル」といった理論を広めた。富士通や三井物産の社外取締役を歴任。2017年にはカリフォルニア大学バークレー校最高賞の生涯功労賞を授与された。(写真=吉成 大輔)

 本連載は、経営学の大家である野中郁次郎一橋大学名誉教授が提唱する「知識創造理論」を、様々な角度から紹介してきた。「場」を重視するエーザイ、京セラの実践知リーダーシップ、知識創造理論をソフトウエア開発に応用したアジャイルスクラム、「共通善」の価値観を再確認するトヨタ自動車や伊藤忠商事の動き……。「知識創造」の重要性への認識は、産業界全体に広がっている。

 学問の世界でも、知識創造を重視する動きはもはや、経営学の中だけにとどまらない。技術イノベーションを成長モデルに組み込んだ経済学者ポール・ローマー氏は、2018年にノーベル経済学賞を共同受賞した。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1939文字 / 全文2534文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「世界の最新経営論」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。