マーケティングの父、フィリップ・コトラー教授に聞く新常態のマーケティング。今回は、なお構想中という「マーケティング5.0」について、問題意識を語る。
米ノースウェスタン大学経営大学院名誉教授

前回、コロナ禍が終わらぬ中でのマーケティングを論じた米ノースウェスタン大学経営大学院のフィリップ・コトラー教授。STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)分析をおさらいしながら、コトラー教授が強調したのは、「新常態では、購買サイクルを意図的に速める『計画的陳腐化』は望ましくない」ということだった。今回は、コトラー教授が提唱し世界を席巻した「マーケティング1.0」から、現在まとめている最中だという「マーケティング5.0」までの概念を展望する。
「STP分析のSはセグメンテーションで、要するに、マーケティングを考える上では誰にそれを売り込むのか、対象をはっきりさせることだ。私がこの概念を提唱した当時は、セグメントのイメージは集団だった。しかし、今日のマーケティングは、もはや個人を対象としたものになっている。
なぜか? いうまでもなくデジタル革命のおかげだ。企業はいまやソーシャルメディアやその他の情報源、例えば銀行でのお金の使い方、店での商品選びの仕方などから、個人が何を欲しているかに関する情報を、以前に比べ格段に容易に集められる。こうしたことがマーケティング活動を大変効率的なものにした」

「デジタル」が消費市場を覆う
1960年代後半以降、マーケティングの概念はコトラー教授らによって発展し続けてきた。冒頭に紹介した通り、その概念はマーケティング1.0に始まり、現在、デジタル革命によってマーケティング5.0に向かおうとしている。
[コメント投稿]記事対する自分の意見を書き込もう
記事の内容やRaiseの議論に対して、意見や見解をコメントとして書き込むことができます。記事の下部に表示されるコメント欄に書き込むとすぐに自分のコメントが表示されます。コメントに対して「返信」したり、「いいね」したりすることもできます。 詳細を読む