マーケティングの父、フィリップ・コトラー教授に聞く新常態のマーケティング。今回は、なお構想中という「マーケティング5.0」について、問題意識を語る。

フィリップ・コトラー[Philip Kotler]
米ノースウェスタン大学経営大学院名誉教授
1931年生まれ。米マサチューセッツ工科大学で経済学の博士号を取得(Ph.D.)、その後米ノースウェスタン大学経営大学院の教授に就任。「近代マーケティングの父」と称される。教科書として版を重ねる『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント』(丸善出版)ほか、著書多数。

 前回、コロナ禍が終わらぬ中でのマーケティングを論じた米ノースウェスタン大学経営大学院のフィリップ・コトラー教授。STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)分析をおさらいしながら、コトラー教授が強調したのは、「新常態では、購買サイクルを意図的に速める『計画的陳腐化』は望ましくない」ということだった。今回は、コトラー教授が提唱し世界を席巻した「マーケティング1.0」から、現在まとめている最中だという「マーケティング5.0」までの概念を展望する。

 「STP分析のSはセグメンテーションで、要するに、マーケティングを考える上では誰にそれを売り込むのか、対象をはっきりさせることだ。私がこの概念を提唱した当時は、セグメントのイメージは集団だった。しかし、今日のマーケティングは、もはや個人を対象としたものになっている。

 なぜか? いうまでもなくデジタル革命のおかげだ。企業はいまやソーシャルメディアやその他の情報源、例えば銀行でのお金の使い方、店での商品選びの仕方などから、個人が何を欲しているかに関する情報を、以前に比べ格段に容易に集められる。こうしたことがマーケティング活動を大変効率的なものにした」

<span class="fontBold">あらゆるデジタルツールを駆使する時代へ</span>(写真=PIXTA)
あらゆるデジタルツールを駆使する時代へ(写真=PIXTA)

「デジタル」が消費市場を覆う

 1960年代後半以降、マーケティングの概念はコトラー教授らによって発展し続けてきた。冒頭に紹介した通り、その概念はマーケティング1.0に始まり、現在、デジタル革命によってマーケティング5.0に向かおうとしている。

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