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インフラ投資の重要性を強調してきた米カリフォルニア大学バークレー校経営大学院のヘンリー・チェスブロウ教授。最終回は、中国のオープンイノベーションを取り上げる。

ヘンリー・チェスブロウ[Henry Chesbrough]
米カリフォルニア大学バークレー校教授(特任)
米スタンフォード大学経営学修士(MBA、最優等)、米カリフォルニア大学バークレー校で経営と公共政策の博士号(Ph.D.)取得。2003年、社内外の知的な協働でイノベーションを起こす必要性を説く「オープンイノベーション」の概念を発表。米ハーバード経営大学院助教授などを経て現職。

 連載1回目で、政府による継続的なインフラ投資の重要性を強調した米カリフォルニア大学バークレー校経営大学院のヘンリー・チェスブロウ教授。今回は、まさに国策的なインフラ整備で急成長する中国の、イノベーションに関する見立てを聞く。

 「今回は中国のイノベーションについて、過去を振り返りながら考えたい。

 毛沢東が知識層を追放し、文化大革命で国中を破壊された同国だが、鄧小平の登場で流れが変わった。その後、世界貿易機関(WTO)に加盟した2001年から経済成長が本格化。国策として膨大な量のインフラが整備されたことにより、中国企業の生産性が一気に高まった。インフラ整備は当初は非常に低い水準だったものの、数十年にわたり持続されたことが大きかった。その結果、例えば中国の空港は現在、米国の空港より近代的で洗練されている」

 インフラ投資の長期継続が可能だったのは、中国の統治体制のためだ。

 「中国には、他国にはないものがある。中国共産党という仕組みだ。共産党と政府は公式には分離しているが、実際には党が政府を強力に管理し支配する。このような例は他の国にはない。だが一方でイノベーションの部分では、中国は非常に自由で開放的でもあるのだ。インフラ整備などは細かく長期的に管理するが、産業政策、とりわけ先端分野に関しては比較的自由に民間にやらせる。そんな二面性にこそこの国の特徴がある。