米カリフォルニア大学バークレー校教授(特任)

前号で、政府や企業のインフラに対する投資不足により、イノベーションの恩恵が国・業界全体に行き渡らない「指数関数のパラドックス」が引き起こされていると指摘した米カリフォルニア大学バークレー校経営大学院のヘンリー・チェスブロウ教授。今回は、チェスブロウ教授自身の過去の企業支援の経験などを基に、オープンイノベーションが失敗する理由を考察する。
「大企業は既に稼ぎ頭の既存事業を抱えている。その状況で新規の収益事業を育てるのは容易ではない。特に難しいのが、育成のめどが付いた新規事業の種を本格的にビジネス移行させる段階だ。新規事業の種を探すイノベーション部門は、最新のトレンドを調べ、新たな事業機会を探す試行錯誤を繰り返している。それを収益にするには、ある時点でその種を事業部門に引き渡す必要がある。しかし、この両者の意識があまりに違いすぎるのだ。ここが、イノベーションの『死の谷』になり得る」
「死の谷」とは、イノベーションを実行に移す時の関門を指す。乗り越えられないとプロジェクトが日の目を見ずに終わるため、「死の谷」と呼ばれる。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1845文字 / 全文2594文字
-
【締切迫る!】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【初割・2カ月無料】有料会員の全サービス使い放題…
特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題
ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題
日経ビジネス最新号、11年分のバックナンバーが読み放題
この記事はシリーズ「世界の最新経営論」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?