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仏INSEAD経営大学院のナラヤン・パント教授に聞く、リーダーが変わるための経営心理学。今回は、「認知行動療法」と「マインドフルネス」を取り上げる。

ナラヤン・パント[Narayan Pant]
仏INSEADマネジメント実践教授
米ニューヨーク大学経営大学院で博士号(Ph.D.)を取得。米モニターグループの戦略コンサルタントなどを経て現職、幹部教育学部長を務める。個人の変革における心理の変化や、認知行動の変化に関する研究が専門。

 「人を動かすリーダー」になるためには、自己管理が最重要であることを説く仏INSEAD経営大学院のナラヤン・パント教授。気づきによる思考の修正のステップ、恐怖心や怒りを克服するコツなど、自分の考え方をどう変えていくかについて紹介してきた。今回はリーダーにふさわしい行動様式を身につけていくための「認知行動療法(Cognitive-behavior therapy model、CBT)」、マインドフルネスについて聞いていく。

今していることに集中する

 「高いポジションにつけば、人はそれを失うことを恐れてしがみつくようになる場合もある。ポジションを失い、キャリアプランが壊れることを恐れるのだ。これらもすべて、これまで見てきた『恐れ』だ。こうしたリーダー故の恐れをどう克服するか。ここで認知行動療法について紹介したい。

 認知行動療法では、自分の頭の中を駆け巡っている思考に気づき、その思考を修正し、さらには行動を変えていくまでのプロセスをフォローしている。下の図にあるように、まずは自分の思考を認識する。そして、その考えを『修正』する。さらに、考えを修正することを通じて、行動を変えていくのである。これが認知行動療法の基本的な3ステップだ。これが煩わしいと思うのであれば、もっとシンプルなやり方もある。それがマインドフルネスと呼ばれるアプローチだ。

 マインドフルネスとは何か? それは要するに、今していることに集中し、注意を払うことである」