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リーダーシップの神髄は自己管理だと指摘する仏INSEADのナラヤン・パント教授。リーダーが、自分を変えるためのコツを解説する。

ナラヤン・パント[Narayan Pant]
仏INSEADマネジメント実践教授
米ニューヨーク大学経営大学院で博士号(Ph.D.)を取得。米モニターグループの戦略コンサルタントなどを経て現職、幹部教育学部長を務める。個人の変革における心理の変化や、認知行動の変化に関する研究が専門。

 6~8人の個別の見解の平均値を参考に意思決定をした方が、1人のリーダーの独断より意思決定の質は高まる、と説く仏INSEADのナラヤン・パント教授。正しい経営判断を下すには、リーダーはメンバーでなく自らを管理し、自由闊達に意見を述べられる環境をチーム内に作ることが最重要だと強調した。ただ世の中では、マイクロ・マネジメントのように緻密な組織管理こそが成果を生むとの考え方もある。パント教授はどう見ているだろうか。

 「マイクロ・マネジメントは、自己管理の対極にあるリーダーの姿勢で、私は評価しない。マイクロ・マネジメントをしたがるリーダーは同僚、仕事相手を信用できないのだろう。前回も指摘したように、他人をコントロールするなどそもそも不可能だ。それに、特に大企業などでは、メンバーを細かく管理すればするほど彼らは指示待ち型の人材になる。自分自身で決めることを恐れ、組織のトップに全部決めてもらうまで待つようになる。つまり中長期的には、全部組織の弱さとして跳ね返ってきてしまう。

 マイクロ・マネジメントなしで組織を管理できないと思うリーダーは、自分を律することができていない。怒りの感情などを制御できず周囲を萎縮させている。だから、細かく管理し叱咤(しった)激励しないと組織が動かない」

 近年は、感情をコントロールする「アンガー・マネジメント」なども人気を呼んでいる。だが、パント教授はこうしたテクニックについても否定的だ。