全2631文字

ビジネスパーソンの関心も高く、百家争鳴の感もあるリーダーシップ論。今回から、仏INSEADで幹部教育研究に携わるナラヤン・パント教授に、心理学の側面からみたリーダーシップの在り方について洞察を聞いていく。

ナラヤン・パント[Narayan Pant]
仏INSEADマネジメント実践教授
米ニューヨーク大学経営大学院で博士号(Ph.D.)を取得。米モニターグループの戦略コンサルタントなどを経て現職、幹部教育学部長を務める。個人の変革における心理の変化や、認知行動の変化に関する研究が専門。

 リーダーといえばどのような人物を思い浮かべるだろうか。実業界ではかつて、米ゼネラル・エレクトリックの故ジャック・ウェルチ氏がカリスマ的な名リーダーと絶賛された時代があった。あるいは、事業再建を成し遂げたり、時々の主流な業界で巡航速度から規模拡大へのシフトで成功を収めたりした経営者が注目されることも多い。

 だが今回は「人の心を動かすリーダー」の本質に焦点を当てる。長年リーダーシップ教育に携わってきた仏INSEADシンガポール校のナラヤン・パント教授に、話を聞く。

 「リーダーシップ研究とは、リーダーにより力を発揮してもらうための研究分野だ。私の観察では、リーダーによい仕事をしてもらうために必要なのは、知的訓練だけではない。ビジネススクールは伝統的に知的訓練をしてきた。だが、リーダーの心理にも働きかけなければいけない。自分がエキスパートだと自認したことはないが、もう数十年、リーダーシップ教育をしてきた。