金融機関や投資家から企業に対する、ESG対応を求めるプレッシャーは高まる一方だ。経営者の個人的な振る舞いやプライバシー対応も、ESG(環境・社会・統治)の一つ。だが、そこには思わぬ落とし穴がある。
仏INSEAD戦略教授


世界の企業がESGに本腰を入れるようになったのは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が、2017年に出した報告書がきっかけとされる。TCFDは、主要国の金融当局からなる金融安定理事会(FSB)が、G20の要請を受け15年に設置した国際的な組織だ。報告書で企業や投資家、金融機関などに対し、財務に影響がある気候関連情報の自発的な開示を推奨したことで、投資家の視点が大きく変化した。
気候変動が企業の長期的な業績を決定する主因の一つならば、環境保護や温暖化防止に積極的な企業は経済全体の発展にも貢献することになる。実際、米投資ファンドのブラックロックのラリー・フィンクCEO(最高経営責任者)が1月14日、ESG(環境・社会・統治)を重視する企業への投資を軸にした運用を強化すると表明した。
逆に言えば、ESGに無関心な企業は、本業がどうであれ、投資が集まりにくくなるだろう。金融関係者によれば、欧州の投資家の間では化石燃料を扱う企業から資金を引き揚げようとする動きも目立つという。「これからの企業はESGに対応しながら稼がねばならない」。こう語る社会課題解決ビジネスの動向に詳しい仏INSEADのジャズジット・シン教授に、より詳しくESGに対し企業の取るべきスタンスを聞く。
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