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不確実性が高まる世界の政治経済。デビッド・ティース米カリフォルニア大学バークレー校教授は、「不確実性」と「リスク」を分けて考えることが勝者の条件になるとみる。

デビッド・ティース[David J. Teece]
米カリフォルニア大学バークレー校経営大学院教授
1975年米ペンシルベニア大学で経済学博士号取得(Ph.D.)。米スタンフォード大学、英オックスフォード大学を経て82年から現職。200本以上の論文を発表、産業組織論、技術変革研究の世界的権威。

 不確実なビジネス環境では、変化をセンシング(察知)し、シージング(事業機会の捕捉)し、さらにトランスフォーミング(変容)するという3つを迅速にできる力が必要だ。これこそが、組織や経営者が「現状のまま利益を最大化しようとするのではなく、変化に応じて自己変革し、付加価値を創る力」(慶応義塾大学の菊澤研宗教授)、ダイナミック・ケーパビリティである。

ビジネスモデルが同じでも変化対応力に差
●効率性、俊敏さのトレードオフ
出所:ティース教授らの共著論文「Uncertainty, Innovation, and Dynamic Capabilities: An Introduction」(California Management Review, Vol. 58, Summer 2016)から作成
未来をいかに読み取るかがカギ
●不確実な環境下に必要な「ダイナミック・ケーパビリティ」
出所:ティース教授らの共著論文「Dynamic Capabilities and Organizational Agility: Risk, Uncertainty, and Strategy in the Innovation Economy」(California Management Review, Vol. 58, Summer 2016)から作成

 とはいえ、経営者は変化に俊敏に対応すると同時に効率も追求しなければならない。ダイナミック・ケーパビリティの提唱者である米カリフォルニア大学バークレー校のデビッド・ティース教授は共著論文「Uncertainty, Innovation, and Dynamic Capabilities: An Introduction」で、経営者が環境変化に俊敏に対応するには、「不確実性」と「リスク」の違いを理解すべきとする。ポイントは以下だ。