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米カリフォルニア大学バークレー校のデビッド・ティース教授が提唱した「ダイナミック・ケーパビリティ」論は、世界中の経営学者が最も注目している新理論である。今週からその概要や応用例について、ティース教授に聞く。

デビッド・ティース[David J. Teece]
米カリフォルニア大学バークレー校経営大学院教授
1975年米ペンシルベニア大学で経済学博士号取得(Ph.D.)。米スタンフォード大学、英オックスフォード大学を経て82年から現職。200本以上の論文を発表、産業組織論、技術変革研究の世界的権威。

 米カリフォルニア大学バークレー校のデビッド・ティース教授は、1997年に「ダイナミック・ケーパビリティ」という概念を提示した世界的に著名な経済学者だ。ティース教授に師事した慶応義塾大学の菊澤研宗教授によれば、企業や経営者が「現状のまま利益を最大化しようとするのでなく、変化に応じて自己変革し、付加価値を創る力」がダイナミック・ケーパビリティだ。つまりは、組織イノベーションを起こす力である。

 ティース教授は経営学者のピーター・ドラッカーを敬愛する。「ダイナミック・ケーパビリティは、ドラッカーの思想を理論にしたもの」と説明する。その理想に近い形として近年熱い視線を注ぐのが、中国の大手家電メーカー、ハイアールの経営理念「人単合一」(個人単位の市場目標を統合する)モデルだ。

 「ダイナミック・ケーパビリティは、組織とその経営者が、変化に対応するため内外の知見を統合し、構築し、組み合わせ直せる能力のことだ(下図参照)。その点で最も注目してきた企業が、中国の家電メーカー、ハイアールだ。ハイアールには、ダイナミック・ケーパビリティの発揮を促進する組織構造がある。

 ダイナミック・ケーパビリティを一言で言えば、『センシング(sensing)』『シージング(seizing)』『トランスフォーミング(transforming)』を実行する経営力だ」

ダイナミック・ケーパビリティとは……
出所:ティース教授らが、1997年に“Strategic Management Journal”に発表した論文で定義した内容から抜粋