スイスのビジネススクールIMDのマイケル・ウェイド教授は、デジタル改革成功のカギはインセンティブにあると指摘する。ただインセンティブの導入で改革のスピードを上げたとしても、その先にはまだまだ難関が待ち受ける。

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マイケル・ウェイド[Michael Wade]
スイスのIMD教授兼DBTセンター所長
デジタルがビジネスモデル、ストラテジーやリーダーシップに与える影響の調査、研究、教育に取り組む。IMDによる世界各国各社の幹部向け公開短期研修「Leading Digital Business Transformation (LDBT)」のディレクターを務める。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)が専門である、スイスのビジネススクールIMDのマイケル・ウェイド教授。前回は日本でデジタル改革が思うように進まない理由の一つとして、従業員を巻き込むインセンティブの弱さを指摘した。ただインセンティブの導入で改革のスピードを上げたとしても、その先にはまだまだ難関が待ち受ける。今回は、デジタル改革にありがちな「間違い」に理解を深めていく。

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 「デジタル改革にあたってはまず、小さなことから始めると、活動が最後まで小さいままになりがちであることに要注意だ。とりわけプルーフ・オブ・コンセプト(新しいアイデアの検証やデモンストレーション)、つまり、プロジェクトが実現可能かどうかや、効果や効用などについてまとめ、『コンセプトを検証』したら、それで終わってしまうのだ。PoCはあくまで出発点で、それに基づいて新しいやり方を受け入れられるよう俊敏に企業文化を変革することこそが重要なはずなのに、である。

 日本には年功意識が深く根付いていて、変化を嫌う傾向があるから、特にPoCの罠に陥りやすい。若者も、最初は野心的に変えようとするのかもしれないが、上を説得するのがあまりに大変で諦めてしまうのではないか」

 PoC止まりにならずデジタルツールの導入までは進むものの、そこから停滞することも多いという。

 「もちろんデジタルは、企業文化を変えるパワフルなツールになる。ただ、企業はしばしば、技術を導入すること自体に注力しすぎて肝心の変革が不十分に終わる。あるデータによれば、95%のデジタル変革は失敗するとされる。失敗の主な理由はほかにも6つあるが(下表)、“導入しただけで進まない”のは典型的な失敗ケースの理由だ。

「手段が目的化する」と失敗
●デジタル改革、よくある7つの間違い
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