巨大プラットフォームで偽物や不正取引が横行し、制御不能になるケースが目立つ。自ら律する努力と次世代の新たな技術が、ビジネスモデル革新の鍵になりそうだ。

デビッド・ヨフィー[David B. Yoffie]
米ハーバード経営大学院教授
米スタンフォード大学で博士号(Ph.D.)取得、1981年から米ハーバード経営大学院で教え93年から現職。ケーススタディーの大家。経営幹部教育を中国やインドにも展開し成功を収めた。

 巨大プラットフォームの影響力が大きくなればなるほど、違法性や詐欺などの問題が目立ってきた。今後プラットフォームビジネスはどのような方向に向かっていくのか。米ハーバード経営大学院のデビッド・ヨフィー教授が近い未来を展望する。

ガバナンスが最大の問題

 「過去数年、プラットフォーマーにとって、より重要になってきたのがガバナンスだ。2~3年前は話題にもならなかった。しかし米フェイスブック、米アマゾン・ドット・コム、米グーグルに個人情報漏洩をはじめ様々な複雑な問題が発生した。当事者が考えるべき点は4つある。

 1つ目は、誰でも参加できるのか、あるいは参加資格に制約があるのか? プラットフォームは設計上、できるだけオープンでなければならない。

 2番目は、当たり前だが、ルールに基づいた運用と順法性を確立しているか。

 3番目は、規模拡大が容易かどうか。拡大したときに適切な規模の人数を十分に巻き込めるくらいでなければ、やはり問題が発生する確率は高まる。

 そして4番目は、質の悪い取引が起こるのを最小限にするため、目利きする方法を作り上げているか。詐欺や偽ニュース、まがい物の流通・売買の場になれば、そのプラットフォームに未来はない。これは一番解決が難しい問題だ」

 とりわけ4番目の課題については、欧州連合(EU)がプラットフォーマーの規制に動き、米国も調査を始めた。

 「中国アリババで、20~25%の商品は偽物というのはよく知られた話だ。米フェイスブックには偽ニュースがあふれてきたが、これが選挙に破壊的な影響を与え得る問題にまで進化した。だが、偽ニュースや暴力、偽物はより多くのページビューになり、広告になり、利益を増やす。悪いことの方がもうかる」

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