プラットフォームのビジネスを長持ちさせるためには、5つの条件があるという。「勝者総取り」の仕組みとされるが、一度トップに立ってもほかのビジネス以上に油断できない。

デビッド・ヨフィー[David B. Yoffie]
米ハーバード経営大学院教授
米スタンフォード大学で博士号(Ph.D.)取得、1981年から米ハーバード経営大学院で教え93年から現職。ケーススタディーの大家。経営幹部教育を中国やインドにも展開し成功を収めた。

 前回、プラットフォーマーが失敗しがちなのは「値付け」であると強調した米ハーバード経営大学院のデビッド・ヨフィー教授。同教授は、プラットフォームビジネスを長持ちさせるためには、5つの条件があるとも指摘している。

  1. 競争しながら、通過すべき局面を乗り越えること。
  2. ネットワーク効果を促し最大限利用すること。
  3. ユーザーが同じようなプラットフォームを同時に利用する「マルチホーミング」がしにくい仕組みにすること。
  4. ニッチな、あるいはユニークな競合から受ける影響を最小限にすること。
  5. 参入障壁を築くこと。

 それらをすべて実現するうえで、最も重要なのはユーザーとの信頼構築だという。具体的にどういうことなのか、ヨフィー教授に聞いていこう。

ユーザーとの信頼醸成が大きなカギ
●「プラットフォーム競争」に勝つ5条件
ユーザーとの信頼醸成が大きなカギ<br /><span class="fontSizeXS">●「プラットフォーム競争」に勝つ5条件</span>
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イーベイの中国事業失敗の教訓

 「プラットフォームで大切なのは、知らない者同士が安心してやり取りできる場になることだ。逆にいえば、信頼を築き、維持できないなら、勝ち残ることはできない。

 オークションサイトの米イーベイが中国で失敗したのは、現地で信頼を醸成できなかったからだ。例えば(イーベイを模倣してスタートした)中国のアリババ集団がアリペイを導入して実現したような、消費者が納得してから支払えば済む仕組みを作れず、信頼を獲得できなかった。つまりイーベイは、プラットフォームビジネスで競争するうえで重要な局面の一つである『信頼基盤の構築』に失敗した」

 一方アリババは、ユーザーが安心して取引できる新たな仕組みを構築した。

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