変化の激しい中、企業にはイノベーションを起こす力が求められている。では、イノベーションを起こす力はどう強化すればいいのか。施策を考えるには、指標も参考になる。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院
「スローン・マネジメント・レビュー」主幹教授
前回、学生も社会人も起業できる環境が必要だと説いた米マサチューセッツ工科大学(MIT)のマイケル・クスマノ教授。今回は、地域や企業の変革力、すなわち起業力とイノベーション力の研究成果と、そこから得られた知見について解説する。
変革力の指標は2つある
「私は、地域に対して変革力のKPI(重要業績評価指標)を使って分析してきたが、これは、企業の変革力測定にも使える指標だ。MIT地域起業促進プログラム(REAP)の中で、組織の変革力を測る指標として、2つを定義した。一つはイノベーション力。もう一つは、起業力だ」
つまり変革力は、イノベーションを起こす力と起業する力を見れば判断できる、と定義したわけだ。
「連載の初回で触れたように、イノベーションを起こす力で日本は高順位だった。イノベーション力をどう測ったかといえば、国として研究開発にどの程度の金額を投じているか、特許の数、インフラは整っているか、ネット環境はどうか、ネットのスピードはどうかといった、研究開発に関係する計測可能なデータや、研究を支えるインフラの整備状況などについてまず調べる。さらに大学卒業者の数、修士号取得者の数、博士号取得者の数、社会科学系に対する理系の学生数などもイノベーション力の構成要素となるので、こうしたデータも勘案して計測した。

一方で、起業力を測る時のカギは、まず人口調整後の創業の数だ。実は日本は、世界でも極めて低い順位だ。極めて、極めて低い。
VC(ベンチャーキャピタル)の投資額も見る。どれだけ取引があるか。出来高はどうか、などを見る。こちらも、5~10年前よりはかなり改善しておりトレンドは良好であるものの、日本の順位は極端に低くなっている。
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