人により「価値」は異なる

 「マーケティングでいう価値とは何かを考える時の問題は、価値とは何かについて、人は常々、誤解しがちなことだ。例えばリモコンメーカーのエンジニアなら、リモコンにボタンを増やすことこそが価値だと言うかもしれない。では、消費者にとっては、何がリモコンの価値だろうか? マーケティング上の正しい答えは『時と場合による』というものだ。

 確かに、若者がターゲットなら、最新機能の装備によってボタンの数を増やすことを歓迎するユーザーも多いだろう。一方で50代以上なら、老眼がつらいため、ボタンの数を減らし、その分、ボタンを大きくしてほしいという要望が増えるはずだ。つまり価値とは『セグメント』、すなわちターゲット顧客の購買行動次第で決まるということになる。よってマーケティングを考える際は、何より、顧客にとっての価値が何であり、顧客がどのように(商品やサービスを)選択するのか、丁寧に理解する必要がある」

 マーケティングの世界ではここ数年、「マーケティング4.0」という言葉を身近に聞くようになった。「近代マーケティングの父」と呼ばれるフィリップ・コトラー米ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院教授が、著書『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則(Marketing 4.0:Moving from Traditional to Digital)』(2017年、朝日新聞出版)で提唱し、広まった概念である。

 「コトラー教授の提唱する『マーケティング4.0』とはつまり、デジタルマーケティングを進めていくことである。SNS(交流サイト)など、ソーシャルメディアを通じて効率的なコミュニケーションをし、AI(人工知能)やビッグデータをより活用して展開していくマーケティングのことだ。デジタルはもちろん、先に挙げたマーケティングの使命を実現するためのツールの一つでもある。

 マーケティングの基本ツールとしては差異化(differentiation)、提供価値(value proposition)、セグメント化(segmentation)が挙げられる。さらに、基本的な『4P分析』がある。4Pは製品(product)、価格(price)、流通(place)、そしてプロモーション(promotion)の頭文字を表したものである。別の『P』を加えるマーケティングの専門家もいるが、基本は4Pである。マーケティングが専門の研究者は、得てしてこうしたフレーズを考えるのが得意である」

消費者に対して価値を訴える
●マーケティングの定義
消費者に対して価値を訴える<br /><small>●マーケティングの定義</small>

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