「まず、ライドシェアや民泊のように取引の仲介をするプラットフォーマーの多くが抱えている問題が『仲介者離れ』だ。事業を進めているうちに、取引が自社の外側で進められるようになり、(最初にきっかけを作った)プラットフォーマーが利益を得ることが困難になる状態だ。

 利用者からの“中抜き”がなくても、新たな参入が相次ぐと、プラットフォーマー同士の競争が激しくなる。実際、米国の大手配車サービス会社であるウーバー・テクノロジーズとリフトは、互いに終わりなき料金競争に陥っており、どちらが最終的に強みを持つことになるのか、定かではない。

 実際、多くの新しい取引市場ビジネスは、初期の取引を促進することにこそ成功しているものの、最初から収益を出しながら規模拡大できる仕組みにできているわけではない。起業家は規模を拡大し、事業を継続させるのに十分な“価値”を利用者からどう獲得するか、最初から考える必要がある」

 仲介離れなどの影響を最小限にしない限り、市場の失敗(摩擦)解消ビジネスも一定の規模で頭打ちになる恐れがあるというわけだ。ではどうすべきか。

 ソフトウエア開発などの世界を中心に、アジャイル(俊敏さ)、つまり経営スピードを速めることで競合を振り切る戦略が重要とされることが多い。が、情報技術を駆使した取引市場によるビジネスについてコミナーズ氏は、起業初期から圧倒的に高品質なサービスを市場に投入する“垂直立ち上げ”“ロケットスタート”が大切だと指摘する。

 この点を実証するケースとして、MBAの講義でコミナーズ氏は『ゲーマーセンセイ』という会社を取り上げている。ゲーマーセンセイでは、利用者が指導を受けたいeスポーツのゲームを選び、コーチのプロフィルを料金、チーム、言語などで検索する。利用者はデータを確認したあとでレッスン時間などを予約し、通話アプリなどで指導を受ける。レッスンに不満足なら、同社が返金をサポートする。

<span class="fontBold">eスポーツのコーチと選手を仲介する「ゲーマーセンセイ」</span>
eスポーツのコーチと選手を仲介する「ゲーマーセンセイ」