ウイスキーは寒冷地で生産されるというのがそれまでの常識。だが、李のウイスキーは亜熱帯の台湾産。悪条件を逆手に取る前代未聞の製法も、業界関係者の注目を集めた。

 「気温が高く熟成が速く進んでしまうことを生かし、生産性を飛躍的に高めてしまった。そんな逆転の発想、聞いたことがなかった」。ある日本の酒類メーカー幹部は、当時の衝撃を振り返る。通常なら15〜20年かかる製造期間を約3分の1に短縮してしまったのである。その快進撃は止まらず、世界的な権威のある「ワールドウイスキーアワード(WWA)」などでシングルモルトとしての最優秀賞を相次いで獲得。ウイスキー蒸留所としては世界10位の生産能力を持つほどに成長した。

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