「再生に戦略論だけでは不十分。経営者人材は改革手法のマスターを」

 長期の業績低迷に悩んできた会社に、社外から任命された改革リーダーが現れると、社内では何が始まるのかと、改革者の一挙手一投足に耳目が集まる。私がかつて手掛けた1兆円企業の中の不振事業再生でもその反応は複雑だった。歴代の事業責任者は「言葉だけの改革」を繰り返し、バブル崩壊翌年から7年もの連続赤字を続けていた。

 そのころ、本社の決算も苦しくなり、赤字事業を支える余力がなくなっていた。その経営を再建する任務を背負って就任した社長は「日本の経営者、ここに健在」と思わせる立派な人だった。社長は「この会社が過去から引きずってきた不振事業のうみは、私の在任中にすべて片付ける。それが終わったら自分はさっさと引く」と決意を語っていた。

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