新型コロナウイルス禍のために海外投資家への訪問を過去2年間見送っていたが、2022年は3年ぶりに実施することができた。9月には英国ロンドンの金融街を訪れて、現地の機関投資家と議論を重ねた。

 オンライン会議でも必要な情報のやり取りはできる。ただ、会議の目的がはっきり決まっているせいか、淡々と進むことが多くコミュニケーションも深めにくい。その点、対面でお互いに間合いを計って会話すると、表情やしぐさ、沈黙している時の雰囲気にも注意を払うことになる。そのため、相手の考えていることを深く理解することができた。

 実感したのが、海外投資家の日本株、そして日本経済そのものへの期待感が薄まっている点だ。日銀が金融緩和を続ける一方、米国では金利上昇が続いて日米金利差が広がり、円が売られている。円相場は1ドル=145円台まで値下がり、1998年以来、約24年ぶりの円安水準にある。海外マネーにとって「安いニッポン」を買う好機とも言えるはずのため、投資家と面談する前には、「円安によって日本株への期待感は強まっているかもしれない」と内心期待していた。だが実際に会うと、むしろ反対だった。

 「輸出が多い日本の製造業全体に円安は追い風だと言われる。だが、本当にプラスなのか」。ロンドンで投資会社のファンドマネジャーにこう聞かれた。日本企業のそもそもの収益力に懐疑的な雰囲気を感じた。3年前までは、日本企業の技術力や経営力への評価を感じたが、今回はそうした評価がどうも揺らいでいるように受け止めた。