「不退転の決意を抱けるか。リーダーは意見が異なる相手と徹底的な対話を」

 読書が私の幼い頃からの趣味だ。小説から経営書まで、ジャンルは問わない。多い時は(「積ん読」を含め)年間300冊は読んでいた。中でも青年期から心引かれたのが、欧州各地を征服したナポレオンや古代ギリシャのアレキサンダー大王など、スケールの大きい世界の英雄譚(たん)だった。

 役員として全日本空輸(ANA)の発展に力を尽くしていた1990~2000年代、年1冊のペースで発行される新刊を心待ちにしていたのが塩野七生さんの代表作『ローマ人の物語』だ。壮大なスケールでローマの建国から滅亡までの歴史が描かれている。中でも印象に残っているのはカエサル(シーザー)だ。

 「賽(さい)は投げられた」──。カエサルは政敵であるポンペイウスと対決する決心を固め、当時将軍が兵を率いて渡ることを禁じられていた本国イタリアとの境界、ルビコン川を渡る。不退転の決意で退路を断って、一線を越えた逸話だ。私は20年前、改めてこのエピソードの章を読み返し、「カエサルに比べると自分の覚悟はまだまだ甘い」と思わされた。

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