「中国に好機を与えたペロシ下院議長の台湾訪問。米中関係は中国優勢へ」

 ペロシ下院議長の台湾訪問で米中のパワーバランスが中国優勢に傾いた。訪問で両国間の緊張が一気に高まったが、単なる高まりではなく、「中国側の非常に計算された緊張の高まり」である点を指摘したい。

 ペロシ氏が8月3日に台湾を離れてすぐに中国は台湾島周辺で大規模な軍事演習を始め、台湾の領域を飛び越えるミサイルを発射までした。だが、これは米中の直接的な軍事衝突や戦争につながる行為ではない。中国側も、バイデン米政権が関係悪化や緊張の高まりを求めていないことを知っている。では、なぜこうした挑発行為に踏み切ったのか。それはペロシ氏の訪問に合わせて実施することが、中国にとって最もリスクが低く、かつ対米戦略の点で最も有効だったからだ。

 ロシアによるウクライナ侵攻以降、米国と同盟国の「対ロシア」における結束は強まっている。特に日本や韓国、オーストラリアといった太平洋の同盟国は、大西洋で起きていることを我がことに感じ、「対中国で北大西洋条約機構(NATO)諸国ともっと協調すべき」「世界で起きている紛争やサイバー攻撃にもっと目を向けるべき」と感じ始めている。その傾向が強まれば、より欧米の常識や価値観などに沿おうとするだろう。

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