自社の存在意義や社会的価値を「パーパス」として発信する企業が増えている。ただ、各企業のパーパスを見渡してみると、表現が一般的すぎてその企業ならではの特徴がないものも多い気がする。

 業績への確かな道のりにつながらないパーパスは、ステークホルダーからも見限られる。例えば仏食品大手ダノンはパーパス経営をリードする一社とみられていたが、エマニュエル・ファベール最高経営責任者(CEO)は解任された。立派なパーパスを掲げても十分な業績を達成できず、企業価値向上につながらなかったからだ。

 少し前になるが、私はパーパス経営の提唱者の一人である英オックスフォード大学のコリン・メイヤー教授と対話する機会に恵まれ、多くの気づきを得ることができた。

 教授は「会社とは社会的課題を、商業的手段で解決する存在である」と論じる。企業は真正面から社会課題に向き合うべきだが、経済的に十分な利益を上げてこそ、その力は発揮されるというリアリズムがそこにある。「パーパス」は単なる美辞麗句であってはならないのだ。

 教授はこんな表現も使った。「profit is a derivative of solving social problems」。利益は社会課題を解決した副産物として生まれてくるという。ここで私は「そのステートメントに、視点を2つ追加してはどうか」と教授に提案してみた。

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