安倍晋三元首相が奈良市の街頭演説中に銃撃され亡くなった。殺人容疑で送検された容疑者は母親が宗教団体に多額の献金をし、子供の頃から生活が困窮していたようだ。もちろん、容疑者がやったことは決して許されることでない。だが、秋葉原無差別殺傷事件や小田急線刺傷事件と似たものが通底しているように思う。

 いずれも、今の状況に追い詰められ、やり場のない怒りや感情が爆発した末のことではないだろうか。しかし、現代社会では、こういった状態にある人間の行動を止めるセーフティーネットのシステムが機能していない。もはや、こうした事件が頻発する以上、しようがなかった、というレベルではない。社会の「欠陥」が表出した結果ではないだろうか。

 なぜ、こうした事件が起こるのか。

かつて、人間は村社会の中で生活を営んでいた。それは、数十人レベルの集団だった。誰が何をしているのかがよく見えた。だから、おせっかいもした。おのずとセーフティーネットは機能した。

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