「ロシア・インフレ・ガス高、悩み多きバイデン米政権に早くもトランプ氏の影」

 ロシアのウクライナ侵攻から100日以上が経過し、米国民の関心が薄れている。

 ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)加盟国の経済的・軍事的支援がなければ戦ってこられなかった。NATO加盟国は最新兵器からヘリコプター、インテリジェンス(戦争に必要な情報収集)に至るまで、戦地にこそ足を踏み入れていないものの残りのほとんどを提供してきた。

 米政府も400億ドルもの費用をウクライナ支援に投じ、ロシアには厳しい経済制裁を加えてきた。共和党と民主党が一致団結した珍しい事案だ。だが6月初旬にワシントンで複数の政府関係者に聞くと、この支援は中長期的には続かないと話す。

 歴史的にロシアと対峙してきた欧州諸国が「ウクライナは我々の代わりに戦ってくれている」と考えるのに対し、地理的に離れている米国は遠くの出来事と捉えがちだ。またインフレーションやガソリン高騰、中間選挙など、米国内では他に注力すべき問題が山積している。

 一方のロシアも追い詰められている。経済が約半分に縮小しているウクライナほどではないが、西側諸国の制裁で2022年はロシアでも10~15%ほど経済が縮小するだろう。西側との分断が進み、兵器の補修に必要な部品や半導体などの調達もままならない。今後の数年間は経済が後退するためロシア国民の不満も募る──。プーチン大統領には「何もかもNATO加盟国がウクライナを支援しているからだ」と映る。

 果たしてプーチン氏は、ただ黙ってこの状況を見過ごすのか。NATO加盟国に対しても何らかの「攻撃」を加えるのではないか。サイバー攻撃か、はたまた偽情報の流布で相手の経済や政治にダメージを加えるのか。ここで忘れてはならないのは、相手が核保有国であるという点。我々は今、1962年のキューバ危機以来の「一触即発の事態」に直面しているのだ。