「終身雇用という形態は前提にならない。官民の優れた才能を再結集すべきだ」

 長らく、企業が新卒採用面接で学生に質問するポイントは、学業以外で力を注いでいた「ガクチカ」、つまりサークルやアルバイトなどの活動だった。しかし最近、それは学生側の視点とずれてきたという記事が本誌(2022年5月30日号)にあった。

 昔はレジャーランドともいわれてきた大学だが、その後教育への取り組みは強化されている。学生も専門性やスキルの獲得に熱心で、よく勉強する。新型コロナウイルス禍でも大学は授業のオンライン化を積極的に進めて教育の質を維持し、サークル活動や社会活動が思うに任せない学生は自然と勉強に打ち込んだ。

 そうした中、面接での相変わらずの「ガクチカ」の質問に学生は戸惑っているという。入社式で「学校の勉強は忘れて早く実務に慣れるように」との訓示が繰り返されているならば、そこでも違和感を抱くだろう。大企業の経営層世代の人材育成の考え方は、環境変化の激しい現代にマッチしなくなってきている。

 世代間の意識ギャップは、他にもある。例えば、共働き世帯が今や多数派であることや、夫の育児休業の必要性など、現在の幹部には想像しにくい。共働きで家事も分担している以上、企業や官庁で長時間労働が続くと生活が維持できない。

 他方で、若者の目には終身雇用という形態は持続可能とは感じられない。新卒就職者で3年以内に離職する割合が3割、1000人以上の事業所でも25%に及ぶ時代になっている。SNS(交流サイト)などを通じて経験の共有のスピードは速い。若手にとって転職は、珍しいことではなくなっているが、大企業や官庁の人事担当、特に上層部では転職経験がある人はほとんどいない。ここでも知識・経験の「断絶」が生まれている。