先史時代より絶えぬ争い。プーチン氏による戦争は背景に集団の「ラベル化」。

 ロシアの侵攻によって起きたウクライナ戦争。まさかこのような戦争を21世紀に目の当たりにするとは思わなかった。なぜ人間は戦争をしてしまうのか。今回は、争いのもととなる集団という単位や、集団の意味づけとなる「ラベル化」の効果について着目してみたい。

 先史時代から人間は戦争を繰り返してきた。戦争が起きるのは集団対集団で利害が対立したときだ。集団にはそれぞれのアイデンティティーがあり、言語や習慣など異なる文化によって結束する。伝統的な社会で利害の対立の原因となるのはたいてい女か食糧の縄張り。自分が属する「内集団」の中にはひいきもある。例えば、「外集団」に対して批判的に見てしまうのは内集団ひいきの表れだ。

 人間は不思議なことに集団をラベル化されることに敏感だ。かつて、ある社会心理学者がこんな実験をした。互いのことをまったく知らない20人を集め、10人ずつに分類。それぞれA、Bとラベル付けする。すると、それまで互いにまったく知らなかった者同士が仲間意識を持ち「集団」になる。

 「出身校が同じですね」「出身地が同じですね」。初対面のとき、互いの共通点を見つけてこうした会話をすることは多いだろう。これもラベル化の例だ。人間はひとたび、共通点によってラベル化をされると同じ集団であることを強く意識する。

 SNSで特定の言葉を示す「ハッシュタグ」も、他人と共通するラベルを見つけるためのツールと言える。誰もが、簡単なラベルを見つけたいとの思いがある。