「『魑魅魍魎』を生み出す組織の政治性を抑えるには平時からの規範が重要だ」

 2021年9月6日号同11月22日号に続き、今回も「組織の政治性」について考えたい。それだけ経営者や多くのビジネスパーソンにとって悩ましい問題であり、前回、前々回の記事にも多くの反響を頂戴している。

 経営者が組織の政治性に足をすくわれることを避けたいなら、一番簡単な対応は消極的で軋轢(あつれき)の少ない経営を行うことだ。しかし、会社はある程度の成長を維持しないと腐り始める。社内で「サラリーマン体質」と「官僚的手順」が増殖し、攻めの人材が枯れてくる。そんな経営では、米国や中国の攻勢に対抗できる企業が日本で育つ確率は、ますます低くなる。だから攻めの経営を志す企業家は、日本特有の組織の裏に潜む政治性を越えていかなければならない。

 私は生涯を通じてあくまで攻めの姿勢で成長企業を生み出すことを目指し、組織としては倍速で次世代経営者を育てると標榜してきた。組織の政治性リスクを下げるために、経営トップとしてコミュニケーションにさまざまな工夫を加え、また幹部や社員への「戦略教育」にCEOとしては異常なほどの時間を割き、組織の論理的・精神的な共有基盤を強めることに腐心してきた。

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