「製造業の要は地域産業。中小企業のプライドこそイノベーションの源泉」

 最近は中小企業の数が多過ぎるとか、集約して効率化すべきとか、色々なことが言われている。こうした考えは、いわゆる米国型金融資本主義の考え方がベースにあるのだろう。合従連衡のようなやり方自体が悪いわけではない。ただ、日本ではこうした考え方はなじまないのではないか。

 日本には地場で一生懸命頑張っている中小企業が数多く存在することを忘れてはならない。国内の企業の99.7%を占め、全労働者の7割が中小企業で働いているといわれる。日本の製造業の根幹を支えるのは、彼らを中心とした地域産業にほかならない。例えば韓国では、財閥系など大企業を優遇する政策を徹底した。そのため地域産業が育たず、部品や加工といった産業の裾野が広がらなかった。重要な素材を輸入に頼らざるを得ないなど、経済構造がいびつで脆弱になってしまった。

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