「コロナ禍の病床不足は司令塔機能の欠如が原因。縦割りを打破して対策を」

 新型コロナウイルス感染拡大が始まって1年がたとうとしている。緊急事態宣言の発令による外出規制や予防対策の常態化、職場のテレワーク移行、教育へのオンライン活用など、国民生活は一変した。それと同時に、従来隠れていた日本の構造問題の数々が我々の眼前に明らかになった。

 その典型例が、感染防止や医療の現場に最適な資源配分をする司令塔機能の欠如、ではないだろうか。日本では普段はそれを現場が何とかこなしてしまうため、問題が共有されず、抜本的な対策がとられない。

 例えば救急患者が発生した場合、米国では権限のある指令センターが入院先を決定・指示し、病院が受け入れるのが一般的だ。

 日本では患者を搬送している救急隊と病院との「交渉」になる。たらい回しにならないか、当事者は冷や冷やだが、勤勉な現場がそうならないように頑張るという構図だ。

 コロナ禍は、こうした日本的な対応を破綻させる結果になった。感染対策を担う保健所は、機動的な人員増員や、情報システム配備により現場を支援するはずの司令塔がないままに、感染拡大に業務がパンクし、多くが戦線縮小を余儀なくされている。

 医療現場も同様だ。他の先進諸国に比べ、日本には2倍から4倍以上の病床があり、一方でコロナ感染者数は1桁か2桁少ない。にもかかわらず毎日「医療崩壊」の悲鳴が上がるのはなぜか。日本の医療の大半を担うのは民間病院のため、政府のコントロールが利かないからだという。