「8年ぶりの新しい首相。ブレークスルーはあるか。官のプロセス革新に期待」

 日本は約8年ぶりに新首相を迎えた。菅義偉首相は行政の縦割り、既得権益、前例主義打破を掲げる。前政権がデフレ脱却とコロナ緊急対応のため財政金融政策を駆使した結果、財政赤字と中央銀行資産は大きく積み上がっている。ウィズコロナの経済再生で、これまで本腰といえなかった経済構造改革を通じて成長を高める政策が何よりも重要だ。菅首相が規制改革・デジタル革命を主張し、伸び悩む生産性向上を目指すのは経済論理にかなう。

 「首相ご指示として11項目あります」「総理から6項目のご指示があります」。9月16日の新政権組閣後の記者会見で、多くの閣僚が首相指示項目を明言した。従来に比べ、具体性と数の多さは極めて印象的だ。

 過去の政権は、規制改革全般を重点政策として掲げ、具体的な改革項目は規制改革会議などを活用して絞り込んでいた。菅氏のやり方はこれまでとは明らかに異なる。官房長官としての8年間の経験がこれを可能にしたのは間違いない。

 各省の課長クラスの実務官僚は、規制改革会議に呼び出された場合、改革に抵抗する知恵をどうしぼるかで点数を稼いできたのが実態だったと思う。

 それが今度は、大臣からしっかり改革をやってくれと声がかかる。官僚の評価基準が変わる可能性が出てきた。改革努力を評価することで霞が関を変えるのであれば、プロセス・ イノベーションに等しい。歴代政権がなし得なかったブレークスルーになるか、大いに注目したい。昨今の霞が関の「忖度(そんたく)文化」の震源だとささやかれる菅氏だからこそ、成果を出すことがなおさら重要だ。例えば、行政枠組みを刷新しコロナに対応する医療検査体制を早期に充実させられるか。マイナンバーを縦横に活用し、日常接する住民行政が本当に便利になったと実感できるようになるのか、だ。