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「時には違う結論もある。一度決めたことに固執せず 時々でベストな判断を」

 富士フイルムホールディングス(HD)が2年前に発表した米ゼロックスの買収計画は、曲折を経て、富士ゼロックスを100%子会社にしてゼロックスとの合弁契約を解消するという形で決着した。ブランドの使用や販売地域に関する契約も2021年3月に終えると決めた。一連の経緯や、その過程で自分がどのように考えてきたのかを振り返ってみたい。

 最初にゼロックスが持ってきたのは、TOB(株式公開買い付け)で自社の全株式を買ってほしいという提案だった。当時の時価総額やプレミアムを考えると1兆円規模になる。買えない額ではないが、成長分野と位置付けたヘルスケア領域などへの投資を優先したかった。

 TOBを断ったらゼロックスが新しい案を持ってきた。ゼロックスと富士ゼロックスを経営統合させ、その50.1%の株式を富士フイルムHDが保有するというものだ。もちろん一体経営をした方がいいし、その案なら巨額の現金拠出がいらない。米国の伝統企業を経営するのは簡単でないと思ったが、買収後のゼロックス会長を自分が3年程度務めるつもりで決断した。