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「危機感なき低迷組織で改革殺す『社内政治』。論理性と腕力が必要だ」

 日本人がバブル破綻で谷底に落ちてから間もなく30年。1人当たりGDP(国内総生産)は世界26位に落ち、国の借金も危機的だ。世界的な競争で後れをとり、欧米や中国に追いつきようもない企業や分野が増えた。しかしそんな低迷にもすっかり慣れ、こんなものだと思っている日本人が多い。日本人はこのまま「失われた30年」の延長を演じ続けるのか。

 私は日本がバブルに沸いていた1980年代に赤字事業再生の仕事を始めた。事業再生という言葉が日本で一般化する10年以上も前のことだ。ターンアラウンド・スペシャリストという肩書を日本で初めて名乗ったが、職業として成り立つかどうかも分からなかった。

 初めは不調のベンチャー企業を支援していたが、バブルがはじけると大企業から事業の再建を頼まれるようになった。ある1部上場企業の社長が拙著『戦略プロフェッショナル』(ダイヤモンド社)を読んで訪ねてきたのが第1号だった。その会社は本業の工業部品で手抜きし、高級紳士服の販売などバブルに浮かれ、3年連続赤字に陥っていた。私は業務受託契約を結び、一番大きな事業部の事業部長を兼務する副社長として社内に入った。